理事長所信

【はじめに】

昨今の感染症による影響でとても不安定な時代となった。目に見えないものへの恐怖、経済が停滞する恐ろしさ。この状況のままで良いと考える人はいないだろう。明るい豊かな社会の実現を掲げる我々の活動は、この閉塞感を打破し、改めて地域活性化の気運を高めるべきだと考える。
現状あらゆる常識が変わってしまった中で、青年会議所としての「やり方」が変わる可能性は大いにあるだろう。しかし、「あり方」は変わらない。地域で活動する団体の中でも、歴史と伝統はもちろんのこと、多様性溢れる人材を擁する栃木青年会議所こそが現状からの復興を加速させ、積極果敢にまちづくりに取り組むリーダー(先導者)であると自負している。そこで、私自身の経験から青年会議所活動に取り組む姿勢についての意見を大きく二つ示したい。

第一に、「投資」という意識を持ち積極的に活動へ参加して欲しい。私は青年会議所に入会以降『人は人でしか磨かれない』というフレーズを強く実感する。多くのメンバーと出会い語らう機会から刺激を受け、成⾧の糧としてきたからだ。具体的には、委員会や例会に限らず出向を含めた他LOMとの交流や、都度の懇親会も貴重な場と考えてきた。もちろんその機会を増やすということは時間もお金も要するが、少し発想を転換することが重要だ。貴重な時間とお金の「投資」であると捉え、最大限の「利益」を得て欲しい。利他の精神が根底をなしている青年会議所活動が生み出す「利益」とは、住まう街の発展、個人や社業の成⾧、仲間との友情、ビジネスチャンス等、結果として自利にも通ずる。形や成果に要する時間も様々だが、皆が望むものが必ず存在するだろう。「投資」は未来への期待や希望があってこそ成り立つ。

第二に、「インプット・アウトプット」を常に意識すること。言い換えるならば学びを得て行動に移すことだ。インプットに偏っては何も生み出せず、アウトプットばかりでは中身が乏しい。この究極にシンプルなサイクルをバランス良く何度も回すことが前述の「投資」で「利益」を得るための具体策だ。青年会議所活動を細分化して見ると、学びと実践の機会は数多く存在するが、意識をしていないとその機会は目の前を通り過ぎてしまう。常に自分は今どちらの状態にあり、どうあるべきなのか、自分自身に問い続けながらサイクルを回そう。日頃から情報感度を高め、自分というフィルターを通して発信していくことはビジネスパーソンとしての幅も広げるだろう。

以上二つを意識して取り組み「利益」を得るメンバーを輩出し続けることで活動は勢いを増し、会の価値向上となる。そして何より栃木青年会議所メンバー一人一人の活発な姿勢が停滞している世の空気を変えていき、地域の活性化に繋がるはずだ。

【事業構築について】

全ての事業において課題抽出を徹底的に行おう。世に必要とされるのは、ビジネスと同様に課題を明確にして解決することだ。これまでに多くの「投資」をし、ノウハウを蓄積してきた継続事業についても同様のことが言える。課題解決に必要な手法であり、会のブランディングに寄与することが継続事業の意義だと考える。
事業構築の前段として、時間をかけてでも物事の本質を見抜こう。そして炙り出した社会課題に対して会心の一撃をあたえるのだ。手段は問わない。その効果が波紋の様に広がり周囲へ影響を与えていくこと、それこそが「運動」となる。

【より効果的な運営と広報】

様々なコミュニケーションツールが溢れているが、効率だけに捉われてはいけない。情報・機会を平等に提供し、メンバー間のコミュニケーションを活性化させる仕組みを確立することが必要だ。広報に関しては、これまで行ってきた活動のブラッシュアップは大前提となる。また、目的達成のために必要であれば広告という手段も視野に入れたい。明確なメッセージとターゲット選定をもとに、もう一歩踏み込んだ栃木青年会議所の発信方法を考えよう。

【親から子へ、子から親へ】

子どもの手本となるのは親である。私自身も2児の父であるが、親としての教えやマニュアル、資格があっただろうか?子は親の鏡であるならば我々と同世代の親も学ぶべきことがあるはずだ。親の思いを上手く伝えられず、成り行きに任せた子育てや教育にならぬよう学びの機会が必要だと考える。
また、子ども達には夢中になれるものを見つける機会を提供したい。毎日でも継続してやりたいことには才能や能力が秘められているとも言われる。子ども達が意思表示や自己表現ができる機会を通して、将来の可能性や選択肢を広げてもらいたい。
親子という最も近い関係でも、より相互理解を深めることが人間味ある健全な青少年育成に繋がるだろう。

【地域に持続可能な仕組みを】

地域には何が必要で何が求められているのか?まず、日頃から社会問題に取り組む行政と既存施策を知ることは必要不可欠だ。そして公知の事実から問題点を見つけ、青年会議所ならではの視点で仮説を立て行動を起こすのだ。さらに、我々の与えるインパクトは一過性ではなく「持続可能」であるべきだ。一時の盛り上がりにこだわらず、次代にも残る仕組みを作り上げることが中⾧期的なまちづくりに繋がると考える。地域に対し『栃木青年会議所ここにあり』という毅然とした態度で事業を構築しよう。

【青年経済人のハブとなる】

青年会議所は人材や情報が集まるハブのよう存在であるべきだと考える。そして同年代の持つ課題解決や情報共有の機会を提供し続けるのだ。時代を読み取り、青年経済人のニーズを満たし惹きつける事業が栃木青年会議所に触れてもらうきっかけとなる。接触機会を増やすことが会員を増やすためにも最良の策だ。また、会員拡大活動 は栃木青年会議所の「営業」とも言える。まず自分たちの強みやアピールポイントを知ること。そして相手のニーズを顕在化し訴求しなければ結果は伴わない。組織としての「営業」を行っていくためには、改めて手法のシステム化と情報集約の精度を高めることが必要だろう。

【社会発展から経済発展を目指して】

近年起きている自然災害や動物由来感染症拡大の一因とされるのは地球環境の悪化だ。個人レベルでもSDGsへの取り組みが他人事でないことは明白となった。SDGsとは世界規模でのリスクヘッジであり、取り組みを推進することは我々にとっての防災事業とも言える。現在、栃木青年会議所としてはSDGsを知る段階からどう広げていくかを確立することが必要だ。企業での取り組みについては「SDG Compass」を活用し、各々が現在の立ち位置を知ることで今後の方針を固めていきたい。

【全国大会とちぎ宇都宮大会】

記念すべき第70回大会が宇都宮の地で開催され、副主管としての参画となる。これほどのスケールの事業には望んで関われるものではない。栃木青年会議所としても多くの予算と時間をかける大規模な投資」となるだろう。また、LOMとしての参画も出向者として携わることも絶好の「インプット」の機会だ。開催に至るまでに事業構築のノウハウや、そこで育まれるメンバー間の友情、成功から得る大きな達成感と自信は今後の活動への糧となり、何ものにも代えがたい経験となるはずだ。よって、とちぎ宇都宮大会を成功裏に導くために会が一丸となりコミットする。

【おわりに】

“Nobody knows about the future, but we know who owns it”
(未来のことは誰にも分からないが、未来が誰に委ねられているかは分かる)

あるプログラムで聞いたフレーズだが、的確な表現で強く印象に残った。これは地域の未来はもちろん、それぞれの社業や栃木青年会議所にも同じ事が言える。閉塞感が漂う現状からの第一歩は我々に委ねられたのだ。目先の事象だけに囚われない勇気と覚悟を持って邁進しよう。今抱える不安や不満をエネルギーに変え、かけがえのない仲間と共に活動を全うした暁には、個々が「利益」を実感し、復興への追い風となっていると信じている。